2009年3月の保育
−さくら色の季節を待ちながら−
この3月、私たちの園から、また卒園児を送り出します。75人というたくさんの子どもたち、その一人ひとりの顔を思い浮かべ、ひとり一人に祝福を贈りたいと思います。
3歳になったばかりの頃から、あるいは4歳になった頃から、みんな、たくさんの時間を私と一緒に過ごしてくれました。私の幸せとともに、ひとり一人の成長を思い返しています。
私が子どもたちに願っていたのは、この園を巣立っていっても、あなたたちには、決して失うことのない希望があるということ。神さまの愛に出会ったあなたたちは、これから、どんな試練に出会っても、「わたしには神さまがついているんだ」という、大きなよりどころ、大きな希望を持ってほしいと思います。そして、ここで学んだ、まっすぐであること、正直であること、みんなと仲よくあること、つまり、自分のまわりに平和をつくることを忘れないで未来につないでいってほしいと思います。
この園で過ごした日々は、長い人生の中では、ほんとうに短い時間かもしれません。けれども、子どもたちの中に、たくさんの贈り物ができたのではないかなと思います。人として、いちばん大切な、愛するということ、自分を支えてくれる家族、周囲の人たちを大切にしていくこと、また、自分自身も大切にされるということ。おそらく、人が人として生きていく上で、いちばん大切なエッセンスを、ここで呼吸のように身につけてくれたのではないかと思います。
私の国の言葉で「Adios」、さようならという言葉には、「私はあなたを神さまにゆだねます」とか、「私はあなたのために神に祈ります」という意味がこめられています。Adios、アディオス、さようなら。
あなたは私のところから巣立っていきます。私に「さようなら」と言います。私たちは「さようなら」と言うけれども、私たちの間には神さまのまなざしが、いつも注がれています。ここから巣立っていき、これからの人生にどんな場面があろうとも、私はあなたのために祈っています。どんなつらい日々があろうとも、神さまは、あなたとともにいてくださいます。それが、神さまの約束です。
もうすぐ花を咲かせる桜の木。ふと見ると、冬の間に枯れたすがたをしていても、枝先がうっすらと春の色をたたえています。もうすぐ花を咲かせることでしょう。さくら色の季節が、子どもたち一人ひとりの上に、そして、ご家族皆さんの上に訪れますようにお祈りしています。