2008年7月の保育
−みんなが金メダル−
幼稚園の入り口を入って左、桜の木の下に小さな池があるのを皆さんはご存じでしょう。そこに5匹のカメがいることも。このカメたちは、とても仲よしだということをご存じですか。小さなカメが5匹、くっついたり離れたりして、いつ見ても、ほほえましいものです。
8月には北京オリンピックが始まります。世界中、5つの大陸からたくさんの選手が集まってくるということを思ったとき、私はこの5匹のカメを想像していました。この子はユーラシア大陸、この子はアフリカ大陸、この子は北アメリカ大陸、この子は南アメリカ大陸、そしてこの子はオーストラリア大陸・・・。
園長のおかしな想像力を笑う方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、仲よく石の上で遊んでいるような彼らの姿を見ていると、国同士の争いを超えてスポーツで競い合い、その努力をたたえ合う選手たちの姿に似ているなと思ったのです。
オリンピック。特に今回は難しい問題もあるようですが、そこで繰り広げられるスポーツの祭典は、私たちを感動させてくれます。一人ひとりが持てる力をすべて発揮し、努力の限りを尽くし、最後にはお互いの健闘をたたえ合う姿がいつも見られます。そこには、参加することのすばらしさ、交わりのすばらしさを私たちに教えてくれます。
これは、幼稚園の子どもたちも同じではないでしょうか。運動が上手な子がいれば、苦手な子もいる。音楽が上手な子どももいれば、なかなかうまくできない子どももいます。でも、みんな一生懸命です。力を出し惜しみする子どもなど一人もいません。一つの行事に向けて努力し、みんなが参加して交わっていく楽しさを子どもたちは知っているのです。
でも、オリンピックと幼稚園、違うところが一つあります。それは、オリンピックでは、メダルをとれるのは金・銀・銅の3人だけです。でも、幼稚園は違います。みんなが金メダルです。参加して、努力して、精いっぱい頑張った子どもたち一人ひとりが金メダルなのです。そのメダルに形はありません。ちょっとした成長、ちょっとした進歩が金メダルに匹敵する価値だと私は思います。
夏のオリンピック。メダルを掲げて笑顔いっぱいの選手たちを見ながら、子どもたちの成長を大いに褒めてあげていただきたいと思います。