2008年9月の保育
−みんながメダリスト−
新学期を迎えて、子どもたちはどうでしょうか。夏のあいだ、オリンピックの話題に花が咲いたのではないでしょうか。8月は連日、オリンピックの番組がテレビをにぎわせていましたね。メダリストの活躍はすばらしいものでしたが、たとえメダルをとれなくても、すばらしい活躍、努力をしたアスリートたちの姿は私たちを感動させてくれたものでした。彼らの汗、涙がきらきらと輝いて見えました。世界で一番、二番になることは、もちろん賞賛に値することですが、やはり参加することに意義があるというのは、ほんとうだなと思いました。その場で持てる力のすべてを出しつくすことがアスリートたちの生きる輝きであると同時に、私たちにこれほどの感動を与えてくれたのだと思います。
さて、私たちの園でも秋には運動会があります。子どもたちは、小さなアスリート。走ること、跳ぶことが上手な子、上手ではない子、それぞれです。子どもたちは運動会の練習にとりかかっていきますが、上手、上手でないにかかわらず、力いっぱい、自分のベストを尽くすことを応援したいと思います。
オリンピック放送も、日本では日本人アスリートの活躍を伝える番組が中心でした。「がんばれニッポン」というのは当然ですし、世界中で自分たちの国を応援するのは当たり前のことです。がんばれ、がんばれ。私も、故国スペインを応援したかったのですが、なかなかテレビには映りませんでした。
自分たちの国を応援する、自分の家族を大切にする、それは尊いことです。
けれども、国境を超えてベストを尽くしたアスリートを称えあう、当のメダリストたちを見ていると、そんなふうに思えます。国ではない、ただ全力を尽くした者同士がお互いをたたえ合う。私たちの園のオリンピック(運動会)も、そうであってほしいと思います。
見つめるのは、わが子だけではない。みんなが、それぞれの体力、能力に応じて持てる力を100パーセント出し切って頑張っているのだということを見ていただきたいと思います。
子どもたちは、ひとりで輝くのではありません。みんなと一緒に飛んだり、跳ねたり、自分を忘れてはしゃいだり、何かに没頭するときに輝きます。小さなレンズでわが子だけをとらえるのではなくて、みんなと一緒にいる子どもたちを見てあげてください。みんなの中で輝いている、わが子を見てあげてください。
オリンピックのアスリートたちに負けない目の輝き、額の汗、そんなものをきっと感じていただけるのではないかなと思います。
やっぱり、みんながメダリストですね。