10月の保育
− 園長先生のお話 −
最高気温が30℃近くなるような日もありますが,朝夕はめっきりと涼しくなってきたこの頃です。郊外の田では稲穂が黄金色の穂を垂らしています。また,一部の田では既に稲刈りを終え,稲刈り後の香ばしい香りを周囲に拡げています。夕方には,スズムシの心地よい鳴き声が原っぱから届いてきます。秋は,桜町聖母幼稚園のすぐ近くまで来てるようです。お子様と一緒に,自然の移り変わりを五感を通して十分に感じ取って頂けたらと思います。
3密を避けるために,例年とは違った形態で行われる「運動会」。その「運動会」に向けての練習が,ほぼ毎日園庭やホールで行われています。時々,その練習の様子を見せてもらうのですが,お互いに励まし合ったり,助け合ったり,困っている友達をそっと助けたりしている姿をよく見かけます。そのような姿を見るたびに,心の奥底から温かいものがわき上がってくるのを感じます。「天の国に最も近いのは,幼子のような存在である」とイエス様が言われましたが,本当にそのとおりだなあ,と強く感じるこの頃です。
先日,自家用車の点検のために近くの販売店に行ったとき,店内のカレンダー脇に書かれている一文に目がとまり,思わず見入ってしまいました。
その一文とは「しっかり見ていると,見えていないものが見えてくるようになる」です。「しっかり見る」ってどのように見ることなんだろう,「見えていないものが見えてくるようになる」ってどういうことを指しているんだろう,と考え込んでしまいました。
「しっかり見る」とは,「すべての前提を排除し,対象となるもの(者,物)を,時間をかけて,継続的に,十分に見ていくこと」だと解釈しました。
「見えていないものが見えてくるようになる」とは,「今まで見えていなかった対象となるもの(者,物)が本来持っている素晴らしさやすごさ,奥ゆかしさ,能力等が見えてくるようになる」ことを指していると解釈しました。
自然をしっかり見ると,対象物の持っている素晴らしさ(形や構造,仕組み,色,におい,味等)が見えるようになるとともに,その自然の背後にある神秘性に驚嘆させられます。
子どもをしっかり見ると,その子どもが本来持っているすごさや能力,素晴らしさ,奥ゆかしさに気づくとともに,その子どもが何をしようとしているのか,子どもがしようとしていることをどのように援助すべきなのかが見えてくるのではないでしょうか。
今,子どもたちは,運動会に向けての練習に一生懸命に取り組んでいます。日々進歩している子どもたち,その子どもたちをしっかりと見ていきたいと思っています。